ジャッキー・フレミング 著/松田青子 訳
『問題だらけの女性たち』(河出書房新社)

問題だらけの女性たち [ ジャッキー・フレミング ]
時は19世紀。イギリス・ヴィクトリア朝。
女性たちがいかにバカバカしい迷信と固定観念に苦しめられたか、
苦いユーモアと強烈な皮肉で描きます。
〈当時の女性たちは、「家庭の玉」の中で生きていました。
玉の中で、女性たちは、育児、床磨き、シーツやカーテンの洗濯、ボタン付け、採炭など、たいして大変じゃない仕事をしていました。〉



小さな頭、弱々しい手、結果を残すことができない……!
とても考えられないような事が、当時は平然と言ってのけられていたということに怒りを通り越してもはや呆れてしまいますが、ダーウィンやルソー、ショーペンハウアーのような「知的な」人々がそういった認識であったということに、またショックを大きくします。
とはいえ、そう言った男性をめった斬りにしてやるところが、この本のミソなんですけどね!
翻訳の松田青子さんが帯に書いている通り、「この世界のおかしなところは、こんな風に笑いのめしてやらないと」!
でも今、21世紀の日本に住んでいる男性(私も含めて)は、本当にこれを笑えるでしょうか?
男女平等が当たり前の世の中のはずなのに、様々な面で不当な扱いを受けている女性たち。
ビジネスも政治も生活も娯楽も、男性優位で動いているこの社会には、本書に書かれていることを「そんなバカな!」と軽く笑い飛ばせるだけの度量があるでしょうか。
見えていないこと、見ようとしていないこと、ないでしょうか。