2020年02月06日

『しずけさとユーモアを』(エイ出版社)

東京・谷中の本屋ひるねこBOOKSです。

吉満 明子
『しずけさとユーモアを』(エイ出版社)


しずけさとユーモアを 下町のちいさな出版社センジュ出版 [ 吉満明子 ]

幼い頃に母親から贈られた、ミヒャエル・エンデの『モモ』。
本はいつも一緒にいて、黙って話を聞いてくれる友人のようだった。

そんな「モモ」のようになりたかった女の子は、出版の世界に飛び込んだ。
いくつかの会社に勤め、やりがいも達成感も感じながら、編集者という多忙な仕事の中で、いつの間にか灰色の男たちに時間を盗まれていった。

本を作っては、目標や収支、昨対を気にかける毎日。
朝5時に会社を出て、仮眠をとってまた職場へ。

常にイライラして優しくなかった。
何かが手のひらからこぼれ落ちていた。
背中がいつも、寒かった。

そして迎えた、3月11日。
あの震災は、生活や仕事やそれまでの価値観を、文字通り揺さぶった。

やがて授かった小さな命。
どんなエンターキーを押したところで、何も実行されないし、自分は「エラー」ばかり起こしている。

本を作るとは一体なんだろう。
町で暮らすとは一体どういうことだろう。

彼女はそれまでの数々の実績や編集長の座にこだわることなく職を辞し、ひとりで北千住に6畳2間の出版社を立ち上げた。

それがこの物語の舞台であり、“主人公”となるセンジュ出版だ。

ちいさな会社のちいさな場所から、4年間に様々なストーリーや縁が生まれ、6冊の本が送り出された。

今、彼女が日々編んでいるのは本だけではなく、「くらし」と「まち」だと思う。

しずけさとユーモア、そして豊かに流れる時間。
そこにはきっと、あの「モモ」の姿があるに違いない。

☆WEB SHOP ➡️
http://hiruneko.thebase.in/items/26293115
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