村山早紀
『魔女たちは眠りを守る』(KADOKAWA)

古い港町に、魔女の娘が帰ってきた。赤毛の長い髪をなびかせ、傍らに黒猫を連れて。
彼女の名前は、七竈・マリー・七瀬。
目指すのは、銀髪の魔女ニコラのカフェバーだ。
満月の夜。
暗闇に沈んだ水のほとりで、一人の女性に手を差し伸べた。
それは昔、彼女がこの街に滞在した時、ほんの一瞬だけ親しくなった叶絵だった。
そう、七瀬は叶絵との約束を果たすために、ここに戻ってきたのだ−−。
「魔女はひとりで旅をして、ひとりで生きていく」。
長い時の間に繰り返される、出会いと別れ。
ひとの子が忘れても、魔女はすべてを覚えている。
〈わたしたちは眠らない。
ずっと昔から、人知れずそうしてきたように、魔女たちはひとの子の眠りを守る。〉
今日も世界のどこかで、彼女たちは密かに街の灯を見つめているのだ。
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