特別装幀版『デカメロン2020』(方丈社)

ヨーロッパで最初に新型コロナウイルスが蔓延したイタリア。
見る見るうちに感染が広まり、その数が増え続ける状況に、世界中が衝撃を受け、
この闘いは決して他人事ではないのだと思い知らされた。
いち早く出された非常事態宣言。
それは多くの犠牲を生んだが、また同時に多くの命を救った。
その間、人々は何を考え、どう生きていたのか。
本書は3月10日から4月28日にわたり、イタリア各地の若者24人が書き留めた、
かけがえのない記録だ。
驚きと困惑、戸惑い。今この世界に生きる誰もが初めて経験する、非日常の日常。
それを率直に、真摯に、ひたむきに刻み込む。
あの物語を思い起こさせる。
1348年に大流行したペストから逃れるためフィレンツェ郊外に引きこもった男3人、女7人の10人が、10日間にわたり毎日10話ずつを語る。ジョヴァンニ・ボッカッチョによる物語集「デカメロン」だ。
喜怒哀楽の一言では表せないほど、あらゆる感情が込められた現代版「デカメロン」。
現代に生きる我々は何を感じ、何を残すだろうか。そして未来の人々は、どう読み、どう活かすだろうか。
今という瞬間にしか生まれ得なかった、記録と記憶の結晶。
これは間違いなく、世界の、人類の宝だ。
*企画・取材・翻訳を担当した、内田洋子さんのサイン入り。
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