2020年11月27日

『ただ、そこにいる人たち 小松理虔さん「表現未満、」の旅』(現代書館)

東京・谷中の本屋ひるねこBOOKSです。

店主が2020年に読んで最も心に残った冊子が、書籍化されました。

『ただ、そこにいる人たち』(現代書館)


ただ、そこにいる人たち 小松理虔さん表現未満、の旅 [ 認定NPO法人クリエイティブサポートレッツ ]

☆WEBSHOP
➡️ https://hiruneko.thebase.in/items/36526438


浜松市にあるNPO法人「クリエイティブサポートレッツ」(以下レッツ)。アートを通して様々な人が共に生きる社会の実現を目指しており、「たけし文化センター連尺町」「たけし文化センターのヴァ公民館」の二つの障害福祉施設を運営しています。

本書は、そこを訪ねた小松理虔さんのレポートを書籍化したもの。小松さんと言えば『新復興論』で知られ、福島のいわき市を拠点にして様々な領域で活動しています。彼が今回のプロジェクトを引き受けた経緯は本文に譲るとして、約1年にわたる訪問をまとめた報告書は、「障害」や「福祉」についての見方を一変させるものでした。

そもそもレッツとは、代表である久保田翠氏が、重度障害のある自身の息子(たけし)の為に立ち上げたもの。社会的規範を全く無視して動き回る息子と、それを介助する母。「他人に迷惑をかけないように」との思いは孤立に繋がり、社会から排除されるような感覚を常に感じるようになりました。

そこで、障害のある子どもたちと家族が安心して居ることが出来る場所として作られたのが、このレッツです。

ここでは「利用者」とスタッフの垣根が無いに等しく、誰もがその場に「ただ居る」ことが出来ます(もちろん、その環境を作り、維持するのは並大抵のことではありません)。ここに集う人たちが如何に自由に過ごしているか、そしてシンプルに「存在する」ことを許されているか。何かを学んだり、何かを作ったりしなくてもいい。寝てても踊っててもおしゃべりしていてもいいし何もしたくなければ、ただ座っていればいい。管理されることも、強制されることも無い。本書で語られるその様子は驚きの連続で、これまで持っていた障害者施設のイメージとは全く異なるものでした。

レッツには、「表現未満、」というコンセプトがあります。

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「表現未満、」とは、だれもがもっている自分を表す方法や本人が大切にしていることを、とるに足らないことと 一方的に判断しないで、この行為こそが文化創造の軸であるという考え方です。そして、「その人」の存在を丸ごと認めていくことでもあります。良い、悪いといった単純な二項対立ではなく、お互いがお互いのことを尊重しながら、新しい価値観が生まれ、ともに生きる社会を皆で考えていく。

それが、「表現未満、」プロジェクトの願いです。
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(レッツHPより引用)

この本を読み、人間の表現とは一体どういうことなのか、その根底にあるものは何なのか、深く考えさせられました。


内に籠らず外に開くこと。誤配、ふまじめさ、支援、共事者。
いくつものキーワードが心に刺さり、ページを捲る手を止めることが出来ませんでした。


どんどん問題を起こす。社会に対して石を投げ続ける。
そうして社会を逆回転させる。

本書が多くの人の手に渡り、「友だち」が増えることを願って止みません。そうすれば、「ただ居る」ことが許されない、息苦しく生きづらいこの社会を変えられるかもしれません。それだけの力を持つ本だと、確信しています。

福祉に関わる人はもちろん、「障害や福祉」に興味のない人にこそ、読んでほしい。
間違いなく、疑いなく、2020年ベストの一冊です。

*レッツについては➡️
http://cslets.net/
posted by ひるねこ at 16:57| Comment(0) | 紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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