2016年02月06日

『神を描いた男・田中一村 』

東京・谷中の本屋ひるねこBOOKSです。

『神を描いた男・田中一村』(1996中央公論社)


神を描いた男・田中一村 (中公文庫)

「孤高の画家」
こんな表現が、これ以上に似合う人はいないのではないでしょうか。

奄美で大自然に囲まれながら、ひたすらに制作をつづけた一村。
中央画壇とは距離を置き、個展なども開催しなかったため、
「無名の画家」として生きた彼の生涯を描いたのが本書です。

1926年に入学した東京美術学校では、東山魁夷、橋本明治らが同期にいて、
「天才」とまで称されながら、病気などもあり中退。
その後、様々な展覧会に出品するも落選が続き、やがてスケッチ旅行を転機として、
奄美大島に移り住みます。

工場で働いて、お金を貯めたらあとは制作に専念する。
歩くときにもランニングとステテコ姿。
寝るときは一升瓶を枕代わりに。

こんな彼は島の住人たちには変わり者扱いをされ、
中央画壇からは完全に忘れられていきます。
それでも一村が奄美での制作にこだわったのは、
そこに本当の芸術があると感じたからでした。
そして奄美の自然のなかに、神を見ていたのです。

「貧乏でなければ絵はいい描けない」
「売るための絵は描かない」
「絵の中心を決めるのに最低8時間はかかる」
……などなど、
彼の芸術に対する姿勢、そのエピソードには驚くばかりです。
お金や名声のためではなく、本当の意味で芸術を求めた一村だからこそ、
あれだけの絵を残すことができたのでしょう。


「生涯最後の絵」とした作品を手放す際の覚悟、決心には、
思わず涙を誘われます。
一村の作品や業績だけではなく、その人物像にも触れられる1冊です。
posted by ひるねこ at 14:30| Comment(0) | 紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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