2016年03月01日

道化と王

東京・谷中の本屋ひるねこBOOKSです。

『道化と王』(柏書房)


道化と王 (ヨーロッパ歴史ノベル・セレクション)

時は17世紀。イングランド。

「不細工でだらしがない」
「かつらがなければ見苦しい」
「鼻は驚くほど低い」

自身でもそう説明せざるをえないほどの醜男、
その名もロバート・メリヴェル。

ひょんなことからチャールズ2世に召し抱えられ、
王の「道化」として生きた男の生涯を描いた物語です。

王の愛人と“偽装結婚”させられ、その見返りとして立派な邸で何不自由なく暮らすものの、
生来の女好きが災いしたのか、王の愛人(自分のみせかけの妻)に好意を抱いてしまいます。
その罰として邸は没収。なんとか救いを求めた先は、友人の働く精神病院でした。

慣れない環境で懸命に働き、自分の生きることの意味を見つめなおしつつあったメリヴェルですが、
やはりここでも女性への気持ちを抑えることができず、結果として追放されてしまいます。

その後戻ったロンドンで、昔の知識を生かして医者として働きはじめ、
ようやく平穏無事な暮らしを手に入れて、晴れてハッピーエンド、
かと思えば今度は町が大火事に襲われて……。

というように、メリヴェルの人生はまさにジェットコースターのよう
安定を手に入れたかと思うと、(主には自分のせいで)また災いがやってきます。

そして敬愛する王との距離は近づいたり遠のいたり。
忘れようとするものの完全には忘れられません。
どんな暮らしをしていても、その心の中には常に「王」がいるのです。
「道化」としての役割はその都度変わりながらも、やはり王とともに生きることを選んだのが、
このメリヴェルという男でした。


不細工でだらしがない。だけど一途で憎めない。
これほど魅力的な主人公にはそうそう出合えません。

圧巻のストーリー展開でありながら、人の心の揺れや弱さなども細かく描かれています。
ハラハラドキドキしながら、一気に読み進んでしまいました。
あとがきで訳者の金原瑞人さんが「ロンドンからの飛行機で一睡もせずに読み続けていた」旨を
書かれていますが、本当に物語に引き込まれるという感覚でした。

こちらは柏書房の「ヨーロッパ歴史ノベル・セレクション」の第1巻。
今後のラインナップも楽しみです!


posted by ひるねこ at 17:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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