小林理子・著『アイスランド紀行―氷と火の島から』(彩流社)
アイスランド紀行―氷と火の島から
北欧本を多く揃える当店ですが、これまでアイスランド関係の本はありませんでした。
そして先日初めて入荷したのがこちらの本。
アイスランドに関する本を読んだことがなかったので、すぐに読んでみました。
本書は、著者が1999年4月〜5月にアイスランドを旅した際の紀行文です。
2016年の現在とは様々な状況が異なりますが、アイスランドという国を理解するのにはうってつけの一冊といえるでしょう。
著者夫妻の夢は、アイスランドへの新婚旅行。
ですが、当時は日本からアイスランドへの旅行者は少なく(今もそれほど多くはありませんが)、
旅行会社をあたってもほとんど情報を得られないまま、悶々とした日々を過ごします。
そして運よく見つけた格安ツアーで、ついに念願の新婚旅行へ!
現地滞在たったの3日半!という駆け足で彼の地を満喫し、帰りの飛行機では早くも再訪を考える……。
といったところまでが「はじめに」で語られ、そのあとは
3年後に著者が1人で訪れた際のアイスランドでの生活が描かれます。
吹き付けてくるマイナスの風に寒さを通り越して痛みを感じたり、
お肉を買おうと思っても、大きな塊でしか売っていなかったり、
「スペシャルホリデー」にはすべてのバスが運休していたり……。
日本との文化の違いを感じ、様々な困難・トラブルに見舞われながらも、
たくましく乗り越えていく著者の行動力には脱帽です。
英語が話せる、文通相手の家族が助けてくれる、といった恵まれた状況もありますが、
とにかくいろいろなものを見聞きし、食べた「探訪記」はアイスランド旅行のバイブルとなるでしょう。
一人旅だからこそ触れられた、人々の温かさ、魅力的な風景が、実感をもって語られています。
詳細はぜひ本書をお読みください。
北欧というとフィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマークの4か国が取り上げられがち。
アイスランドといえば、オーロラ、白夜、そして名前の通り「寒い」というイメージですが、
本書を読むと、この素敵な国の奥深さに触れることができます。
まだまだ馴染みの薄い、神秘の国アイスランド。
訪れてみたい国の一つに加わりました!