『茨木のり子の献立帖』(平凡社)
茨木のり子の献立帖 [ 茨木 のり子 ]
詩人・茨木のり子が残した日記や料理のスクラップブックから、茨木家の食卓メニューを再現。
日々の暮らしがあるからこその創作。
あの力強い言葉のもとには、これほどの素晴らしい食事があり、調理する手がありました。
ページを開き自筆のレシピに触れると、匂いや味、そして台所に立つ彼女の姿も立ちあらわれてくるようです。
和食から中華、洋食、茶碗蒸しからデザートまで。
その幅広さに唸りますが、スウェーデンの名物料理「ヤンソンさんの誘惑」があったことに驚きました。
ちなみに、あの有名な詩「倚(よ)りかからず」の椅子は、なんとノルウェー製だということも本書で知りました。
レシピや写真も充実していますが、日記や詩、彼女の言葉とあわせて味わいたい本です。
最後に「倚(よ)りかからず」をこちらに。
もはや
できあいの思想には倚りかかりたくない
もはや
できあいの宗教には倚りかかりたくない
もはや
できあいの学問には倚りかかりたくない
もはや
いかなる権威にも倚りかかりたくはない
ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ
「自分の感受性くらい」「わたしが一番きれいだったとき」も、ぜひ読んでみてください。
彼女の詩には私たちをとらえて離さない何かがあります。


