東京・谷中の本屋ひるねこBOOKSです。
河野真太郎『戦う姫、働く少女』(堀之内出版)
スター・ウォーズやディズニー、ジブリやエヴァンゲリオンの女性たちを通してポストフェミニズムや労働を語ります。
アナとエルサ、魔女宅のキキや千尋。
彼女たちの佇まいから見えるのは、現代社会であり未来の世界。
ポップなカバーイラストや“身近な”登場人物、柔らかな装丁で垣根を低くしながら、語られるその論はあくまで強く、鋭い。「しなやかさ」という言葉がぴったりくるような1冊です。
鏡に映っているのは私たち自身の姿なのかもしれませんし、その目線がどこに向けられているのか、じっくり感じながら読みたいです。
⇨http://hiruneko.thebase.in/items/7586514
●目次(出版社情報より引用)
・はじめに
・第一章 『アナと雪の女王』におけるポストフェミニズムと労働
革命的フェミニスト・テクストとしての『アナと雪の女王』
二人のポストフェミニストの肖像
トップ・ガールズとブリジットたちの和解?
シェリル・サンドバーグは存在しない――グローバル資本主義とその本源的蓄積
労働なき世界と「愛」の共同体
・第二章 無縁な者たちの共同体――『おおかみこどもの雨と雪』と貧困の隠蔽
承認と再分配のジレンマ
『おおかみこどもの雨と雪』と貧困の再生産
ポスト・ビルドゥングスロマンと成長物語の変遷
『ハリー・ポッター』、『わたしを離さないで』と多文化主義
無縁な者たちの共同体
コーダ 現代版『ライ麦畑でつかまえて』としての『僕だけがいない街』
・第三章 『千と千尋の神隠し』は第三波フェミニズムの夢を見たか?―アイデンティティの労働からケア労働へ
フェイスブックという労働
『魔女の宅急便』のポストフェミニズム
『千と千尋の神隠し』は第三波フェミニスト・テクストか?
『逃げるは恥だが役に立つ』?─―依存労働の有償化、特区、家事の外注化
・第四章 母のいないシャカイのユートピア──『新世紀エヴァンゲリオン』から『インターステラー』へ
スーパー家政婦、あらわる
『インターステラー』の母はなぜすでに死んでいるのか?
『インターステラー』の元ネタは『コンタクト』なのか?
『コンタクト』と新自由主義のシャカイ
セカイ系としての『インターステラー』
『エヴァ』とナウシカのポストフェミニズム
コーダ1 AIの文学史の可能性──『ひるね姫』と『エクス・マキナ』
コーダ2 矛盾の回帰?─―『ゴーン・ガール』と『WOMBS』
・第五章 『かぐや姫の物語』、第二の自然、「生きねば」の新自由主義
「生きろ/生きねば」の新自由主義
『風の谷のナウシカ』における自然と技術の脱構築
技術と自然の脱構築と労働の隠蔽
『風の谷のナウシカ』、『寄港地のない船』、(ポスト)冷戦の物語
罪なき罰と箱庭
終章 ポスト新自由主義へ
没落系ポストフェミニストたち
主婦が勝ち組?─―ハウスワイフ2・0から『逃げ恥』へ
セレブ主婦の蜃気楼
貧困女子の奮起
エイミーたちの願いとジンジャーたちの連帯
2017年07月22日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック