ルイーズ・グレイ 著/宮ア真紀 訳
『生き物を殺して食べる』(亜紀書房)

食肉の消費を減らすには。
環境ジャーナリストの著者が選んだのは、自ら屠った動物だけを食べるということでした。
時に怯み、涙し、憤り、それでも肉を食べる。
その行為と感情が食物への感謝を生み、無駄な肉食を避けることに繋がるはずと信じて。
あまり肉を食べることを好みません。かと言ってベジタリアンを目指している訳でもなく、美味しいお肉は喜んでいただきます。ただそれがどこからやって来たのか、そのことは知っておくべきだと思うのです。
プロローグを読んだだけで、何度も胸が詰まりました。
彼女の最初の「狩り」はウサギ。
緊張の中、銃を撃ちますが、なんとそのウサギは宙返りして着地すると、信じられないことに駆け出して行ってしまったのです。
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〈「もう一発!」でも手が震えて引き金が引けない。〉
〈何かとてもひどいことをしてしまったような気がしてならなかった。〉
〈自分の身勝手さに腹が立った。どうしてこんな計画を始めてしまったんだろう?いったい何を証明したかったの?〉
〈わたしは言葉も出ず、泣くこともできなかった。〉
〈あのウサギは、失敗した時の気持ちを教えてくれたのだ。それは、動物を殺すなら背負わなければならないリスクだった。いわば肉食の代償と言えるかもしれない。〉
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私たちは毎日、間接的にでも生き物を殺しています。
善悪ではなく、向き合わねばならない事実が確かにあります。