川奈まり子
『少年奇譚』『少女奇譚』(晶文社)

少年奇譚 [ 川奈まり子 ]

少女奇譚 [ 川奈まり子 ]
人ならぬもの、普段は見えない存在が、この世には確かにいる。
意識するとしないとに関わらず、恐らく誰しもが経験したはずのそれらとの邂逅は、成長するとともに減り、いつしか忘れてしまう。
そして大人になってからの、ふとした瞬間、ささやかな出来事が、それを呼び覚すことがある。
『千と千尋の神隠し』に登場するハクが、その導き手となり、ある男性に幼き頃の遊び相手を思い出させたように。
幼少期だからこそ立てた、異界への入り口。触れられた、異界への扉。
多くの人々の実体験として語られ、集められた奇譚は、「少年」「少女」それぞれに特有の妖しさ、怪しさを放っている。
性が分岐する前のある一時期に、何かがそっと宿るのかもしれない。
あなたにもきっと、いつかの出会いが甦る。
身も心も粟立つ。