東京・谷中の本屋ひるねこBOOKSです。
トーリル・コーヴェ 著、青木順子 翻訳
『わたしの糸』(西村書店)
運命の赤い糸。
それは男女の愛を表すこともあるし、時には友との友情、あるいは親子の絆の証となるのかもしれません。
この絵本は、手をのばしてつかまえた1本の糸から始まる、ひとりの少女の冒険の物語です。
糸に導かれるまま辿り着いたのは深い森。そこで小さな女の子に出会います。
彼女はやがて母になって、子の成長を見守り、そして巣立ちの時がやってきます。その時、赤い糸は、二人の関係は、どうなるのでしょうか。
少女を主人公にした、愛や自立がテーマの絵本かと思いますが、これを読んだ時に感じたメッセージは「みんな繋がっている」ということでした。
森で女の子に出会う場面は、赤い糸を象徴するものですが、その子はお腹の中にいてこれから生まれてくる子どもかもしれないし、あるいは何らかの事情で親がいなくなった子どもかもしれません。
どんな状況であろうと、どんな立場にあろうと、人と人は必ず繋がっている。糸は見えなくても、決してあなたは独りではない。必要とし、必要とされる誰かが、どこかにいるはずだ。そんな思いを感じました。
この絵本の元は、アカデミー賞監督であるトーリル・コーヴェが手がけた、台詞のないアニメーション。
画面から伝わる伸びやかな動き、自由なアングルは確かにアニメのそれですが、そこに言葉が添えられることで、より深い世界を生み出しています。
ノルウェーで生まれた、詩情豊かな美しい物語。
ぜひお読みください。
*10/10に翻訳者の青木順子さんをお招きして、トークイベントを開催します。
➡️http://hirunekodou.seesaa.net/article/470042808.html
☆WEB SHOP➡️
http://hiruneko.thebase.in/items/23183739
2019年09月14日
この記事へのコメント
コメントを書く