森まゆみ
『谷根千のイロハ』(亜紀書房)

谷根千のイロハ [ 森 まゆみ ]
古代から江戸。明治、大正、昭和。
それぞれの時代の、谷中・根津・千駄木。
森鴎外や夏目漱石などの文豪、遊郭、弥生式土器、寺町、坂、商店街……。
かつて地域雑誌「谷中・根津・千駄木」を創刊し、「谷根千」という愛称で呼ばれるきっかけをつくった著者が、虫の眼で見るこの小さな町の歴史。
ここに暮らし、店を営んでいても、当然、知らなかったことがまだまだある。
目で見、耳で聞くだけではわからない。
実際に歩き、食べ、話し、嗅いで理解できる町の姿がある。
そして、この本は、それをコンパクトかつ愉快に読ませてくれる。片手に持って、あちらこちらを巡りたくなるのも必然だ。
町の歴史は、人の歴史。
そこに生きる人々の声や暮らしが、町の文化を創り、その風景を成り立たせる。
今また、夏のオリンピックを前にして、再開発圧力と地価高騰が続いている。
私たちの暮らしを脅かす大きな力が働いている。
国家に巻き込まれず、徹底的にローカルであること。
この町には、それができると思うのだ。
➡️ http://hiruneko.thebase.in/items/26528588