三好愛
『ざらざらをさわる』(晶文社)

ざらざらをさわる [ 三好愛 ]
イラストレーターさんとの付き合いが多いので、彼ら彼女らが日々考えていることに興味があるのですが、この三好愛さんのエッセイはたまらなく面白い。
甘さを乱してやりたい一心で改札機に1円玉を入れた小学生時代、マクドナルドとご飯と味噌汁と失恋、夜の親密さと朝の感じの悪さ、認めたくない右奥歯の虫歯、苗字が変わることとアイデンティティ。
人生における一つ一つのざらざらは、生活や仕事のぐねぐねやでろでろと混ざり合い、様々な感情として表れる。
そうして今の自分を作っていきます。
小さな出来事に敏感であること。
そしてそれを妙な連帯に絡め取られることなく、自分のものとして持っておく。
かつて通り過ぎた記憶のざらざらとした部分。
それを掬い上げては確かめ、また歩いていく。
最高です。
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