若松英輔
『詩集 たましいの世話』(亜紀書房)

詩集 たましいの世話 [ 若松 英輔 ]
*
忙しすぎてはいけない
世の中のことに
時間を奪われ
たましいを世話するという
いちばん
大切な仕事ができなくなる
傷ついた
たましいを
慰めるという
高貴な義務を
手放すことになる
*
*
亡くなったのは
わたしが愛した
あの人で
千人の中の
一人ではないのです
たった ひとつの
いのちを喪った
わたしのような
人間がいるのを
忘れないで下さい
*
人は誰も、生きつつあるだけでなく、死につつもある。
だが、多くの人はそのことを忘れている。
今の輝きを見逃さない人間になる。
今日のわたし、今の私を深く生きる。
生きることの知慧。叡知。
https://hiruneko.thebase.in/items/38988820