2021年08月06日

かこさとし『秋』(講談社)

東京・谷中の本屋ひるねこBOOKSです。

かこさとし『秋』(講談社)



ヒガンバナの行列に、風の中の赤トンボ。
うろこ雲が遠くまで続き、野原にはノギクが咲き乱れる。

秋は私の一番好きな季節。
ところが、その秋をとても嫌いになったときがありました。
それは今からずっとむかしの、昭和19年のことでした。

「日本だってアメリカだって、勝っても負けても、戦争では人が死に、傷つき、生活がめちゃめちゃになっていく」

「戦争をするだけのお金や物を、みんなの生活がよくなることに使ったら、ほんとうにたのしい世の中がつくれるだろうに」

「青い空や澄んだ秋晴れは、戦争のためにあるんじゃないんだ」


作者の長女である鈴木万里氏が、自宅を整理していて見つけた原稿を元に絵本化。

美しい自然描写。作者自身の体験。
どこか牧歌的な風景を描きながら、そこには大切な人を喪う悲しみや大きな憤りが込められています。

大好きな秋の美しさが続くように。
平和への願いと強い思い。
posted by ひるねこ at 18:54| Comment(0) | 紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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