2021年08月06日

かこさとし『秋』(講談社)

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かこさとし『秋』(講談社)



ヒガンバナの行列に、風の中の赤トンボ。
うろこ雲が遠くまで続き、野原にはノギクが咲き乱れる。

秋は私の一番好きな季節。
ところが、その秋をとても嫌いになったときがありました。
それは今からずっとむかしの、昭和19年のことでした。

「日本だってアメリカだって、勝っても負けても、戦争では人が死に、傷つき、生活がめちゃめちゃになっていく」

「戦争をするだけのお金や物を、みんなの生活がよくなることに使ったら、ほんとうにたのしい世の中がつくれるだろうに」

「青い空や澄んだ秋晴れは、戦争のためにあるんじゃないんだ」


作者の長女である鈴木万里氏が、自宅を整理していて見つけた原稿を元に絵本化。

美しい自然描写。作者自身の体験。
どこか牧歌的な風景を描きながら、そこには大切な人を喪う悲しみや大きな憤りが込められています。

大好きな秋の美しさが続くように。
平和への願いと強い思い。
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2021年03月24日

『物語のものがたり』(岩波書店)

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梨木香歩
『物語のものがたり』(岩波書店)


物語のものがたり [ 梨木 香歩 ]

「学者でもなく児童文学作家とも名乗らない、いかなる権威とも無縁の一人のもの書き」が提案する、一つの読み方。

秘密の花園、アリエッテイ、赤毛のアン……。

児童文学の名作を読み解き、いぬいとみこ、石井桃子、村岡花子、ビアトリクス・ポターら先人たちの仕事の核心に迫っていく。

鶴見俊輔・別役実との座談会「物語をめぐって」(2003年)を収録。

人はなぜ物語を求めるのか。
https://hirunekobooks.stores.jp/items/60585324c9e02c51f2d0b175
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2021年03月19日

『女ふたり、暮らしています。』(CCCメディアハウス)

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キム・ハナ、ファン・ソヌ 著/清水知佐子 訳
『女ふたり、暮らしています。』(CCCメディアハウス)


女ふたり、暮らしています。 [ キム・ハナ ]

「分子式にたとえるなら、私たち家族はW2C4といったところだろうか。女ふたりに、猫が四匹。今の分子構造はとても安定している」。

ひとり暮らしの気楽さと身軽さは味わった。そろそろ誰かと暮らすのも良いかもしれない。
でも結婚が解決策なわけではない。そんな時、自分と同じように猫を二匹飼っている彼女と出会った。

これはソウルに住む女性二人の共同生活記。
日々のあれこれをユーモラスに綴る文章はもちろん、添えられた写真がまた良い。

韓国では本書の刊行以降、新しい形の家族を描いたエッセイが続々出版されているそうだ。

従来の家族制度や既存の価値観に縛られない生き方を模索している人たちにとって、大きな助けとなるだろう。

誰もが多彩に、豊かに、安全に生きられる社会を願って。
https://hirunekobooks.stores.jp/items/6052ab849b47bf5d1777161a
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