2017年10月17日

『本棚の本』(アノニマ・スタジオ)

東京・谷中の本屋ひるねこBOOKSです。

赤澤かおり 著『本棚の本』(アノニマ・スタジオ)


本棚の本 [ 赤澤かおり ]

たまに「ここに並んでいるのは店主さんが好きな本ですか?」と訊かれることがあります。
「そうです」と答えたいところですが、必ずしもそうではありません。
個人店なので売りたくない本は売らないけれど、古本の買取によって予期せぬ本との出会いはあるし、知らない本を手にとって、棚に並べるのが楽しいのです。

少しくらいはファンの方もいるかもしれませんが、選書で唸らせるほどのセンスも知識もありませんので、それだけでは商売が成り立ちません。ですので、大まかに分ければ「セレクト書店」かもしれませんが、必ずしも自分の趣味の本だけを置いているのではないのです。

そういうわけで、店の棚を見られるのは当然平気だけれど(むしろ見て買って読んでください)、自宅の棚を公開するのは恥ずかしい。それは裸の姿を見られるようなものだから。

〈本棚には人生と人柄が詰まっている〉

ここに並ぶ19名、料理家、デザイナー、カメラマン、漬物店店主、帽子作家など職業は様々。
だけどその本棚を見れば、その人の考えや生き方が見えてきます。

いつか自分も胸を張って本棚を見せられるだろうか。
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2017年10月15日

『ねむたいひとたち』『チューリップ畑をつまさきで』

東京・谷中の本屋ひるねこBOOKSです。

冷たい雨ですね。
こんな雨の日にぴったりの新刊絵本を2点紹介します。

『ねむたいひとたち』(あすなろ書房)


ねむたいひとたち [ M.B.ゴフスタイン ]

いつでもねむい、ねむりこびとの一家。
眠る場所さえあればどこでもいい。いちばん幸せなのは眠るとき。
あくびをして、のんびりして、にんまりしたら、おやすみ前のスナックです。
食べてるうちに目がとろん。控えめに言って最高です。
ゴフスタインの名作、初邦訳。


『チューリップ畑をつまさきで』(偕成社)


チューリップ畑をつまさきで [ 山本容子 ]

きれいな花を咲かせることを夢みる球根の女の子、カオリとバナナ。
チューリップはどうして人を幸せな気持ちにすることができるの?
その秘密に触れる、彼女たちの旅の物語です。
あの山本容子さんが初めてストーリーも手がけた美しい絵本。本を開いた瞬間、ふわっと明るく楽しい気持ちに。

ちなみに「チューリップ畑をつまさきで」〈Tip-Toe Through The Tulips〉はこちらの曲です。ずっと聴いていたい。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=4&v=UZMHJX4b9bU
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2017年10月14日

『あるノルウェーの大工の日記』

東京・谷中の本屋ひるねこBOOKSです。

毎日のように本に触れていると、時に奇跡的な出会いを感じることがあります。
この本もそんな1冊です。恐らくノルウェーの本でなければ手に取らなかったでしょう。

オーレ・トシュテンセン 著
中村冬美/リセ・スコウ 翻訳 牧尾晴喜 監訳

『あるノルウェーの大工の日記』(エクスナレッジ)



ノルウェーで25年以上、大工として働く著者。
ある日かかってきた、屋根裏の改築依頼の電話。
その日々の中で語るのは、自らの仕事、建設業界の現状、そして働くことや生きることの意味。

私たちが「匠の技」と称賛し消費する仕事の陰にある、職人の苦悩、喜び、誇り。
時にユーモアを交えながら訥々と語られる実直な思いが胸を打ちます。
あらゆる働きの道標になるような本。



少し長いですが、彼の言葉をいくつか抜粋します。

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「私は替えの利く、壊すこともできる、消えていくものを造ることで生計を立てている。それがこの職業の一面でもある。私たちを取り囲む建物は、日々の生活の上で必須でありながら、同時に重要なものではない。」

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「家屋の一部を取り壊す時には、過去にどんな作業を行ったかが手に取るようにわかるものだ。丁寧に作業をすれば、それは将来、見る目を持った人にははっきりと伝わる。」

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「私は自分を、職人としての腕で他人から評価されたい。この仕事そのものが、私の人格であるように。そうすれば将来のいつか、私の職人としての技量に対する評価が、私という人間に対する評価になるかもしれない。100年前の職人たちも、同じような考えを持っていたのではないだろうか。心の内では、私は彼らの同僚、もしくは友人として、連綿と続く長い列に連なっているのだ。」

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「手を動かす仕事よりもアイデアの方が価値が高いことは、抽象的な理論や理屈を重視する社会では当然の結果だろう。現場での作業が埃っぽくて混沌としているいっぽう、アイデアは純粋で汚れのない感じがする。」

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「私は自分の手を気に入っている。年齢と、これまでの経験が形作った手。大工の手だ。(中略)手は人生を物語る。自分にできること、やってきたことはここに写し出されている。この手は私の推薦状であり、履歴書だ。」

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「合理化は人々の心に不寛容をもたらし、ルールや権力による圧迫を生む。その結果、皆が70%の能力では足りず100%の能力を発揮することを求められ、労働市場から多くの人がこぼれ落ちていく。」



序盤のわずか60ページで自分の心に刻みたい言葉が次々と綴られています。

全て読んでから紹介をしようか迷いましたが、下手な紹介をするより、
彼自身の言葉がこの本の力を雄弁に語ってくれます。


自分が本屋である限り、売り続けたい。
「出会えて良かった」心から、そう思います。


http://hiruneko.thebase.in/items/8584858

posted by ひるねこ at 19:23| Comment(0) | 紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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