『貧乏は幸せのはじまり』(ちくま文庫)
著者は言わずと知れた、書評家・古本ライターの岡崎武志氏。
古今東西の有名人たちの「貧乏」エピソードが紹介されています。
貧乏なのになぜかいつもモテモテだった詩人・金子光晴。
文豪の娘とは思えないボロボロのアパートに暮らした森茉莉。
全盛期の2億円の収入から一転、2万円のお年玉で金縛りにあった岸部四郎。
その他、五木寛之、赤瀬川源平、西原理恵子、井上陽水、明石家さんま……などなど。
さらに三好達治や石川啄木の借金術から、「パンの耳」や「四畳半」の話まで、
とにかく貧乏話が満載で、時にしんみり、時にクスッとさせられる「貧乏指南書」。
とても悲惨な状況なのに、どこかユーモラスで朗らかな「貧乏」ならぬ「ビンボー」に、
こちらまで明るい気持ちにさせてくれます。
お金がないからこそ生まれる生活の知恵や、持たない暮らしの幸福感などは、
学ぶべきところが多いかもしれません。
あとがきで引用されていた、映画「群衆」の1場面。
「金ができると俗物が集まってくる。いつのまにか車を買わされる。
車を買えばガソリンに税金に保険に違反の罰金だ。
払うために働くハメになり、自由はなくなり、自分も俗物になるんだ」
金と自由の関係を見事にあらわしたこのセリフこそ、本書に登場した人物たちが学び、
そして身に付けた真理なのかもしれません。
そしてそれが「幸せのはじまり」なのかもしれませんね。
ライター荻原魚雷氏、古書ますく堂店主の増田啓子氏との対談も読み応えバツグン!
実感のこもった、明るいビンボー話に勇気と元気をもらえます。


