とても良い本に巡り合いました。
江口絵理『ボノボ 地球上で、一番ヒトに近いサル』(そうえん社)
ボノボ [ 江口絵理 ]
「ボノボ」というサルをご存知でしょうか?
以前、著者の江口さんが身の回りの人に聞いた際、知っているという人は1割ほどで、
ほとんどの人が「知らない」あるいは「聞いたことがあるけどよく知らない」という反応だったそうです。
私も「聞いたことはあるけど……」という程度でした。
そしてこの本を読んで、その生態の数々に衝撃をうけました。
ボノボはチンパンジーよりもヒトに近いと言われていて、そのDNAはヒトとほとんど一緒だそう。
人間の言葉を理解できたり、自分以外の誰かの気持ちに共感したり、いたわってあげたり、
人をだますことすらやってのけるのだそうです。
また過去や未来について考える力もあるようです。
このあたりのことについてはぜひ本書で詳しく読んでみてください。
そしてボノボを語るときに欠かせないのが、そのユニークなケンカ回避術。
食べ物の取り合いになりそうな時など集団に緊張が走る瞬間に、なんとあちこちで性行動が始まるのです。
それはオス同士やメス同士、赤ちゃんボノボも参加するのだそう。
これは冗談ではなく、実際に行われていること。
そして、みんなの気持ちが落ち着いたところで、仲良く食べ物を分け合ったりするのです。
ボノボは「平和を愛するサル」とも言えます。
もちろんちょっとしたケンカや諍いはありますが、決して相手に重傷を負わせるほどのものではありません。
気性の荒いチンパンジーとは対照的に、子殺しもまだ1例も確認されていません。
それは争いを避けられるような集団のシステムが出来上がっているからとも言えます。
“マザコン”のオスが多く、メスが常に優位にたっているのも特徴的ですね。
ヒトと大変近しい存在のボノボ。
ですが、まだまだその生態は解き明かされていないことばかり。
本書に書かれていない事実もこれからますます明らかになってくるかもしれません。
これまで「人間にしかできない」と思われてきたことを軽々とやってのけるボノボは、
「人間が一番優れている」というのがいかに思い込みだったかということをまざまざと見せつけてくれます。
そして平和な社会のあり方や自然との共生など、私たちが彼らから学ぶことはとても多そうです。
とても新鮮な驚きと広い視野を、本書は与えてくれました。
著者の江口さんも参加するトークイベントを8月に予定しております。
様々な生き物の生態をお話ししてくださるようですので、どうぞお楽しみに!!


