「ぼのぼの」のアニメが好きでした。
見た目の可愛らしさとは裏腹に、シュールで、ブラックで、理不尽で。
ゲラゲラ笑いながらも、なんとなく大人の世界に足を踏み入れてしまったような、不思議な感覚を覚えた気がします。
『花火の音だけ聞きながら』は、「ぼのぼの」の作者いがらしみきお氏による初のエッセイ本。これまでにも数多くの作品を生み出している著名な漫画家さんですが、その言葉に触れるのは実は今回が初めてでした。
花火の音だけ聞きながら [ いがらしみきお ]
生き死にのことや宗教のこと、震災や原爆・核のこと、言葉や愛について。
様々な事柄が軽くもなく重くもない、飄々として訥々とした語り口で綴られていきます。
ユーモラスにクスッと笑わせる一方、哲学的で観念的で抽象的な物言い。
何が言いたいのだか言いたくないのだかよくわからないけれど、そこには確かに1点の真理がある。
社会に対する批判のようでもあり、あるがままの自分を生きることの喜びも感じられます。
なるほど、「ぼのぼの」はこういう人が書いていたのだなと、何年も経って合点がいきました。
これほど形容のしようのない本もなかなか無いのですが、いがらしファンでない方にこそ、読んでいただきたい。
〈物語というのはなんのためにあったのでしょう。それは、この世界を愛せるようになるためではなかったのか。なのに人や物のキャラ化以来、みんな人や物ばかりを愛したがります。「世界」というものを捉えられない。ネットもスマホも、世界へ続いているようで、どこまで行っても世界の欠片にしかアクセス出来ません。〉
ページをめくるごとに様々な感情が渦巻いて、そうですね、なんだかズキズキします。
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『花火の音だけ聞きながら』(双葉社)
いがらし みきお (著)
208ページ
1,296円


